「薬局でお薬手帳もらったけど、どうやって使うの?」
「もらった薬を記録しているだけで実用性あるの?」
薬局で「お薬手帳はお持ちですか?」と聞かれるから何となく持っているのではないでしょうか。忘れがちな存在でもあるから、いつも聞かれて面倒くさいとも思いますよね。
少し厄介な存在の「お薬手帳」ですが、陰ながら、あなた自身の健康を守ってくれている強い味方でもあるんです!
今回は歴3年薬剤師の私が「お薬手帳がどう活躍するのか」「お薬手帳を最大限活用するためにはどんな使い方をすればいいのか」をお伝えしていきます。
お薬手帳の使い方を知って、ご自身の強い見方になってもらいましょう!
歴3年の薬剤師が解説!お薬手帳の3つの使い方
お薬手帳は「薬局で出すように言われたら渡す」との使い方が一番多いかと思います。渡した先で薬剤師がどのように活用しているのかまでは知らないのではないでしょうか。その上、自分で持っていてどの場面で活用すればいいのかも分かりませんよね。
実は、お薬手帳は薬局や病院以外に、救急時や災害時など想定外な場面でも大活躍します。
実際にどう使われるのかを知って、お薬手帳の重要性を認識しておきましょう!
【薬局・病院】処方薬が適切かを確認してもらう
薬局に行くと「お薬手帳はありますか?」と必ず聞かれるかと思います。渡したお薬手帳は、その時にもらった薬が書かれたシールが貼られて返されますよね。
実際お薬手帳を見た薬剤師は、シールを貼る以外に
「すでに飲んでいる薬との飲み合わせは問題ないか」
「薬のアレルギーは問題ないか」
「手持ちの薬はあまっていないか」
など様々なことを確認しています。
お薬手帳は「今回もらった薬をあなた自身が飲んで問題ないのか」を判断する重要な手がかりとなるので、薬局に行く際は忘れずに持っていきましょう。ドラッグストアなどで市販薬を買う際に、その場にいる薬剤師に確認してもらうために持っていくのもオススメです。
また病院を受診する時にもお薬手帳を持っていきましょう。体調が悪くなった原因が薬ではないかなどを判断してくれますよ。
【救急時】飲んでいる薬を確認してもらう
「救急車に乗る」「急に体調が悪くなり、入院する」といった場面でも、お薬手帳は重宝します。
救急車に乗る時は、意識がなくなっていたり上手く話せなかったりと、コミュニケーションがとれないかもしれません。「普段飲んでいる薬は?」「薬のアレルギーは?」と聞かれても回答が難しいのではないでしょうか。
そんな時でもバッグにお薬手帳が入っていれば、より正確な情報を伝えられ円滑な治療につながります。
救急時を考えると、普段からお薬手帳を持ち歩くのが一番です。どうしても難しい場合は家族にお薬手帳をしまっている場所を伝え、不測の事態に備えておきましょう。
【災害時】お薬手帳の情報をもとに薬をもらう
地震などの災害時にも、お薬手帳は大活躍します。
普段は病院や薬局に行けばもらえる薬ですが、災害で医療機関が稼働できなくなった場合、いつも通り薬をもらうのは難しくなります。過去に出していた薬の情報が分からないと、全く同じものを用意してもらうのは困難です。
そんな時、あなた自身がお薬手帳を持っていれば「何の薬をどのタイミングで飲んでいたか」を正確に伝えられます。
実際に2011年の「東日本大震災」では、お薬手帳があったおかげで適切な治療を継続できた方が多くいたそうです。ご自身でも正確に記録されているツールとして、お薬手帳を持っていると安心でしょう。
【要確認】お薬手帳にまつわる注意事項
様々な場面で大活躍するお薬手帳ですが、使い方を間違えてしまうと良さが発揮されません。
薬剤師が「実際に飲んでいる薬を全て確認できなかった」となると、飲んではいけない薬に気がつけなくなります。そのまま薬を飲み、体調不良になってしまうかもしれません。
お薬手帳を正しく使い、安心して薬を飲めるようにしましょう。
注意事項①|お薬手帳は1人1冊にすべき
お薬手帳は必ず「1人につき1冊」にしましょう。
「毎日飲む血圧の薬は内科Aクリニックでもらっているけど、皮膚の塗り薬はB病院でもらっている。なのでそれぞれ別のお薬手帳を持っている。」という方がいますが、その使い方は望ましくありません。
薬剤師がお薬手帳を確認する時は「今すでに飲んでいる薬と、新しく出た薬を一緒に飲んで大丈夫か」を確認します。お薬手帳が複数に分かれていると、その確認が難しくなってしまいます。
通っている病院が複数あったとしても、お薬手帳は1冊にまとめましょう。
注意事項②|薬が同じでも毎回シールを貼ってもらうべき
お薬手帳のシールは、薬局で薬をもらったら毎回貼ってもらうようにしましょう。
病院へ定期的に通っていて、もらう薬が変わらないと「前回と同じ内容のシールはいらないな」と思われがちです。シールを貼っていけばお薬手帳のページもどんどん無くなっていくし、無駄のように感じてしまいますよね。
ただ、医療者目線でお薬手帳を見る際は、お薬手帳の一番最後に貼ってある「もらった日付」と「何日分か」で今も飲んでいるかを判断する場合が多いです。
例えば…
《今日が12月20日だった場合》
- 最後のシールが「12月14日」「14日分」→今も飲んでいる
- 最後のシールが「10月14日」「14日分」→今は飲んでいない
ご自身で「今飲んでいる薬はこれ」と口頭で説明できればいいのですが、救急時でコミュニケーションが難しい場合は伝えられないかもしれません。
ぜひ日頃から「薬をもらったらシールも必ず貼ってもらう」を意識してみましょう。
お薬手帳は薬局でもらうもの以外でもOK!
「お薬手帳は大切なものとは分かっているけど、大きさも気に入らないし邪魔なんだよな…」と感じていないでしょうか?
お薬手帳は「薬局でもらったものでないといけない」と思われがちです。
実は、お薬手帳は自分の好きなノートやスマホアプリでも代用できます。ご自身で使いやすいと思うもので記録していきましょう!
自分の好きなノートを使う
薬局に行けば無料でお薬手帳をもらえますが、自分で用意したノートでも代用できます。
もらえるお薬手帳の大きさが気になるようなら、自分でお気に入りの大きさのノートでもいいでしょう。薄すぎてすぐ使いきるのが気になるようなら、厚いノートを用意してもいいかもしれません。
ただ、自分で用意したノートを使う場合、以下で該当するものがあれば最初のページに必ず記入しておきましょう。
- 薬のアレルギー歴・副作用歴
- 食べ物のアレルギー
書くべき事項を記載すれば、お気に入りのノートもお薬手帳に様変わりしますよ。
スマホアプリを使う
「手帳やノートだとすぐになくす」と心配な場合は、スマホアプリのお薬手帳を使うのもおすすめです。
薬の登録方法はアプリによって様々ですが、「薬局でもらった明細書のQRコードで登録」や「写真を登録」など比較的簡単に残していけます。スマホは常に持ち歩いている物なので「薬局に行くときに持っていき忘れた!」を防げますよ。
ただ心配なのが、救急時に薬の確認が簡単にできなくなる点です。もし意識がなくなってしまったら、スマホのセキュリティ解除やアプリを開く動作が難しくなるでしょう。そうなると、肝心なときに薬の確認ができなくなってしまいますよね。
お薬手帳をアプリで管理するのであれば、いざという時にすぐ確認してもらえるような対策をしておきましょう。信頼できる家族に開き方を教えておくと安心ですね。
お薬手帳に書いておくべき事項
ここからは薬剤師目線で、お薬手帳にぜひ書いてもらいたい事項をお伝えしていきます。
薬局でもらったシールを貼るだけでも、薬の情報が記録されて便利です。そこに追加でご自身の情報を書いておけば、より情報のつまったお薬手帳にできます。
私自身が書いておくべきと思うものが以下になります。
- 薬の副作用・アレルギー
- 市販薬・健康食品・サプリメント
- 食べ物のアレルギー
- 血液検査の結果
それぞれ詳しく解説していきます。
薬の副作用・アレルギー
過去に薬を飲んで副作用やアレルギーが出たことがあるならば、ぜひお薬手帳に書き留めておきましょう。「年月日」「薬の名前」「出た症状」を細かく書いておくと安心です。
副作用であれば…
「○年○月○日:○○を飲んで胃痛が1日続いた」
「○年○月○日:○○を飲んでから胸焼けのような気持ち悪さが出た」など
アレルギーであれば…
「○年○月○日:○○を飲んで腕に赤いぶつぶつが出てきた」
「○年○月○日:○○を飲んで全身がかゆくなった」など
病院や薬局で聞かれたとき「風邪でもらった薬を飲んで体がかゆくなった」までは言えても、具体的な薬の名前や症状を思い出して伝えるのは至難の技なのではないでしょうか。忘れないうちにお薬手帳へ書き留めておけば、5年10年経った後でも間違えずに説明できますよ。
市販薬・健康食品・サプリメント
ドラッグストアなどで買える「市販薬・健康食品・サプリメント」で定期的に飲んでいるものがあれば、ぜひ書いておきましょう。これらは気軽に買えるものが多いのですが、病院でもらう薬と一緒に飲まない方がいい場合もあります。
特に市販薬では、同じような名前でも薬の成分が違う場合が多いです。薬の名前を正確に伝えるためにも、どんなときに飲むのかも含め、お薬手帳に書いておきましょう。
食べ物のアレルギー
「食べ物のアレルギー」も、ぜひ書いておきましょう。
一見、関係がなさそうと思われますが「卵の卵白成分を使った薬」「牛乳のタンパク成分を使った薬」など食べ物のアレルギーがあるならば避けるべきものがあります。また、漢方薬で「山芋」などの成分を使っているものもあります。
お薬手帳に書いておき、はじめての薬があるときに飲んでも大丈夫か確認してもらいましょう。
血液検査の結果
定期的に受ける健康診断や献血の時にもらった血液検査の結果があれば、お薬手帳に挟んでおくといいでしょう。
血液検査の結果によっては避けるべき薬があり、処方薬を本当に飲み始めていいかの判断ができます。また、継続的に飲んでいる薬の副作用も、血液検査の結果から判断できることがあります。
ご自身の体の状況を判断できる貴重な材料ですので、ぜひお薬手帳と一緒に保管しておきましょう。
お薬手帳の使い方を知って最大限活用しよう!
お薬手帳がどんな活躍をしてくれるのか、どんな使い方をすればいいのかをお伝えしてきました。
今までは薬局に行くときにしか使っていなかったのではないでしょうか?お薬手帳は薬局や病院以外でも、救急時や災害時に大活躍します。普段から大切に持ち歩けると、不測の事態でも強い見方でいてくれますよ。
ご自身で書いておくべき事項も記録しておき、お薬手帳を最大限活用していきましょう!
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