- 教員を辞めたいけど周りに迷惑をかけない辞め方を知りたいなぁ
- 教員の辞め方を間違うと懲戒処分の対象になるって聞いて不安
- 急に教員を辞めたくなったけど少しでも早く辞めるにはどうしたら良いのかな
子ども、保護者、教員間、外部との信頼関係が土台にあるからこそ、
「教員を辞めたい。」
口を裂けても誰にも言えず、一人で抱えてしまいますよね。
私も公立学校の教諭・講師・非常勤と経験しながら同じように悩みました。
【円満退職・自己都合】
2019年3月末に公立学校の教諭を退職
【メンタル不調でうつ診断】
2022年12月末に公立学校の任期付職員を年度途中に退職
ある日突然体が動かなくなり、教員としてやっていけない状況になりました。
そして一気に退職に気持ちが傾き、どうしたら良いのかと悶々としながら過ごした経験があります。
2022年12月末に年度途中退職する私ですが、教員の正しい「辞め方」を知っていたので、順を追って退職準備に向かえました。
本記事では、私が教員を「年度末・年度途中の両方で辞めた流れ」と、「今後の必要な準備」について経験談を基に徹底解説していきます。
「終わりよければ全てよし!」
教員の正しい辞め方を知って、望む退職に向かって準備していきましょう。
教員の辞め方!年度末・年度途中退職に必要なのは任命権者の承認
教員には正しい「辞め方」があります。
任命権者(都道府県教育委員会)から承認を得る = 退職できる
年度末・年度途中の両方の退職でも、「任命権者の承認」が必要です。
いくら自己都合で1日でも早く辞めたくても、任命権者からの承認がなければ「懲戒処分」の対象になってしまいますので、注意が必要です。
減給または戒告 | 正当な理由なく10日以内の欠勤 |
停職または減給 | 正当な理由なく11日以上20日以内の欠勤 |
免職または停職 | 正当な理由なく21日以上の欠勤 |
明日からどうしても職場に出向けなくなったとしても「バックレ」だけはしないようにしましょう。
もう一度教員に戻りたい気持ちがあれば、「免職」は避けないといけません。
地方公務員法第16条
「当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年経過しないもの」
欠格事由に「免職」が当てはまると、すぐに地方公務員として勤務できなくなります。
それでは、年度末・年度途中の退職に向けた具体的な流れを以下で詳しく解説していきます。
【年度末】自己都合退職した流れ5つ
2019年3月に公立学校の教諭を年度末で自己都合退職をした時の流れは5つありました。
- 10月末までに管理職に退職を伝えた
- 校長面談で退職の意思を最終確認された
- 退職説明会に行った
- 年明けから事務・企画室と資料のやり取りをした
- 3月末日に校長室での辞令交付式に出席した
働きながら退職へ向けて動いていきますので、上司への報告期限と地方公務員でいる自覚は忘れずに準備を進めていきました。
現職で働きながら、3月末に退職するのには覚悟が要ります。
目の間には大事な児童生徒の姿があります。最後まで職務を遂行するためには、子どもの気持ちを優先し、溢れ出る感情をぐっと抑え淡々と準備していきました。
それでは、教諭として「円満に年度末退職できた流れ5つ」について以下で詳しく解説していきます。
10月末までに管理職に退職を伝える訳
10月末までに管理職に退職を伝える理由は、11月には次年度の人事異動に向けて学校が動くからです。
具体的に学校として以下の動きが生じてきます。
- 次年度の校内体制・人数配置の把握
- 教諭不足分の臨時的任用教員・非常勤教員の加配を教育委員会へ依頼
退職者や休職者がいれば、他校からの異動者や新規採用者を確保しなければなりません。
校内の人事確保の順番は、
- 教諭の過不足の確認
- 教諭の不足分は臨時的任用教員・非常勤教員で補充する
です。
年度末退職を考えているならば次年度の校内体制を考慮し、遅くても10月末までには管理職へ退職の意思を伝えましょう。
校長面談で退職の意思を最終確認
2学期の校長面談の際に、退職意思の最終確認がありました。
その際伝えられたのは、以下の2点です。
- 「自己都合退職」に間違いはないか
- 「任命権者の承認があって辞令交付されて退職になる」
「自己都合」の確認は、退職金の支給率に関わってくるためです。
「任命権者に承認されないと退職できない」と知った当時は、本当に退職できるのかどうか当時は不安でしたが、
教員を辞めるには手順があるだけで、「必要な意思確認されている」のです。
事務室・企画室から受け取る「退職届」にサインすれば、学校側が教育員会へ退職を申請してくれます。
退職者説明会に参加
退職意思が決まった教職員には、管理職から「退職者説明会」への出席を案内されます。
説明会の主な内容3つです。
- 退職金について
- 退職後の健康保険加入をどうするか
- 再任用登録の案内
この説明会は以下の参加者がいます。
- 定年退職者
- 勧奨退職者
- 自己都合退職
説明会では、今後の「お金」に関する知識が書かれた資料を冊子でいただけます。
退職に向けた「金銭面の準備」を抜かりなくしていきたい。そんな思いがあるならば、説明会への参加は可能な限りしましょう。
年明けから事務手続きが始まる
年末調整の時期が過ぎた年明けから、退職に向けて手続きが始まります。
事務室・企画室からは、以下の資料を預かります。
- 税金の控除
- 退職金の請求
- 公的年金の手続き
- 健康保険証の返還手続き
- 退職届(任命権者への提出用)
いつも一定の給与が入ってくる教員生活。
年金や税金の手続きに不安はありましたが、資料を読み必要事項に記入して、事務職員へ提出して終わりです。
退職に向けての手続きは学校を通して行ってくれます。期日を守って資料を提出すれば、問題ありません。
辞令交付=退職の承認は校長室で受け取る
「退職届」が受理され、任命権者から退職の承認を得たら辞令交付式があります。
基本的に、辞令交付は校長から教員へ直接行うものです。そのため、辞令交付式には特別の事情がない限り出席しましょう。
辞令に書かれている内容
「発令通知書」
氏名 ◯◯ ◯◯
所属 ◯◯学校 職種
発令内容 辞職を承認する
発令年月日 令和◯年3月31日
発行権者 ◯◯教育委員会
この発令通知書をもって「退職」が承認されます。自己都合退職の場合は紙切れ一枚で終わりますよ。
呆気なく退職してしまったと感じましたが、この紙切れが「任命権者の承認」を得られた退職です。
この辞令交付をもって円満な年度末退職ができるのです。
【年度途中】心身不調で退職する流れ6つ
育児休暇中の教諭の代わりである任期付職員として勤務していた私ですが、心身の不調から年度途中に退職せざるを得なくなりました。
2022年12月末で、公立学校の任期付職員を年度途中退職すると決めてからは、以下6つの手順で退職に向かいました。
- まずは年次休暇で休む
- 精神科に通院し診断書をもらう=2ヶ月の病気休暇に入る
- 退職か復帰かを電話で校長と意思確認
- 事務手続き書類が郵送で届く
- 土日祝日に管理職立会いのもと荷物整理する
- 辞令交付され退職が承認される
突然の心身の不調から職場に行けなくなってしまい、すぐにでも辞めたい気持ちでいました。
しかし、年度途中退職でも任命権者の承認を得てからの退職に変わりはありません。
年次休暇だけでは退職まで日数が足りず、休暇制度を利用しないと欠勤扱いの期間が生じて懲戒処分になるのが分かったので
「病気休暇制度の利用」をして、「順を追っての退職準備」をしました。
それでは、「年度途中で退職手続きに向け準備した6つ」を以下で詳しく解説していきます。
まずは年次休暇で休む
ある朝、急に体が動かなくなり職場に行けなくなります。その旨を管理職に電話で相談して、まずは年次休暇で休みました。
年次休暇を取得した理由は、
- 勤務できるかどうか回復を待った
- このまま退職できるのかを考えた
です。
心身の不調だと気づきながらも、「児童生徒が待っているから今は休む時」と割り切って休みましたが、職場に行けない状態は続きます。
5日、10日と休み続け、年次休暇が無くなってしまう手前に、管理職から言われたのは、
「このまま休むと休暇がなくなり欠勤扱いになります。」
「今後どうしていくか相談しましょう。」
です。
休暇がなくなり欠勤扱いになる = 懲戒処分
そうなれば、今後の選択肢は1つです。
- 医師の診断書を取得する
任命権者の承認を得て退職する「辞め方」を選択しました。
医師の診断書を取得し病気休暇に入る
病気休暇へ切り替えるために、「医師の診断書」を受け取りました。
医師からは「うつ状態」と診断され、休養期間は2ヶ月と告げられましたが、これが証明となり病気休暇に切り替わります。
【病気休暇制度】
最大90日間休める
給与は全額支給(交通費などは除く)
「心の状態を落ち着かせる時期」
正直、体も心も動かなくなると、次の職探しは到底できません。
病気休暇をいただきながら過ごした充電期間は、有難いと感じました。
「うつ」と診断されるのを嫌だな、と思う気持ちがありましたが、教員を辞めると決意した以上、任命権者からの承認は忘れずに動きました。
校長と電話で退職の意思を確認
病気休暇取得から約1ヶ月後に校長から電話があり、復帰か退職かの意思を確認されます。
校長と話したのは以下の2点です。
- 3学期から現場復帰するか
- このまま退職に向かうか
3学期からの現場復帰を確認するのは、現在の校内体制がイレギュラーで動いているからです。もし復帰できないと分かれば、新体制を組み直す必要が出てきます。
このまま退職に向かうにも、任命権者への報告があり、退職を承認してもらうための手続きが生じます。
電話越しではありましたが、「退職いたします。」と伝え、この話が教育委員会へ伝わり、退職へと動き始めました。
事務手続き書類が郵送で届く
退職の意思を書面でも確認する必要があるため、事務室・企画室からは郵送で書類が届きます。
平日に職場に向かうのは不可能な状態だったので、書類は郵送です。
- 税金の控除
- 退職金の請求
- 公的年金の手続き
- 健康保険証の返還手続き
- 退職届(任命権者への提出用)
必要事項を記入し、記入漏れがないように念入りにチェックします。
何度も書類のやり取りする期間はないので、不明な箇所には付箋を貼って未記入のままの返送です。
これらの書類が整えば、退職に向けた準備はほぼ終わります。
休日に荷物を取りに行く
職場に残した荷物は、管理職の立ち会いのもと休日に職場に取りに行くのを選択しました。
職場に残してきた荷物は、以下のようなものがあります。
- 参考書
- 文房具
- 手作り教材
- 紙ベースの資料
職場に行く勇気は大きかったですが、誰もいない状況を作ってもらえたお陰で行こうと思えました。
今までお世話になった場所に、次へ向かうためにも感謝だけは忘れたくなかったのが本音です。
辞令交付=退職承認は郵送でもOK!
事務室・企画室に提出した資料を基に、任命権者から退職が承認されたら辞令交付式が行われます。
辞令交付 = 郵送で受け取りできます!
無理に職場に行かなくても、辞令は郵送でも受け取れます。
「職場で受け取りたかったら受け取る」
「自宅への郵送がいいと思えば郵送してもらう」
どちらを選択しても大丈夫です。
私も辞令交付に関しては受け取りに行くか、郵送にするか非常に悩みました。
校長室で受け取りたい自分と、あの環境に行けない自分。
ただ、分かっていたのは
「この辞令交付を受け取れさえすれば、教員を卒業できる」その事実。
周りの目を気にする必要はありません。
なぜなら、これまで地方公務員としてルールに則って自分の気持ちと向き合って動いてきたのですから。
最後くらい自分に、
「お疲れ、自分。本当に頑張ったよね。」と言える選択ができたら、幸せ!
意を決して動いた自分を最高に褒めてあげましょう。
退職を伝えるのは管理職と学部・学年主任が良い理由2つ
教員を辞めたいと思っても誰に伝えたらいいか悩みますが、立場ある人だけに伝えるのが良いのには、明確な理由があります。
年度途中に、担当している生徒や一部の教員に情報が漏れると、
- 児童生徒の心情を不安にさせる
- 他の教員に「あの人来年いないよ。」と変にあしらわれる
こんな対応されかねませんよね。
そうなってほしくないので、地方公務員の強みである「法律」に則って動いていきましょう。
そのためには
「身分上の義務」
これを守りましょう。
では、「具体的にどんな法律なのか」と「退職を伝えた教員としての振る舞いはどうしたら良いのか」を以下で詳しく説明していきます。
地方公務員法には身分上の義務がある
地方公務員として働く以上、「身分上の義務」があります。
身分上の義務には5つありますが、以下2つが退職を伝える際の自分自身を守ってくれます。
- 信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職全員の不名誉となる行為はしてはならない - 秘密を守る義務(地方公務員法34条1)
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする
退職する情報が外部に漏れ、子ども・保護者に退職が伝わるのは、信用失墜行為でもあり、秘密を守る義務を破るに値します。
この地方公務員法があったので、立場ある人だけに伝えました。
情報漏洩を防ぐのもありますが、万が一私自身の情報が漏れた場合、なぜそうなったのか理解できますし説明責任も果たせます。
信頼関係が構築された子ども・保護者・教職員であっても、地方公務員として働く以上、遵守し職務が遂行できるよう動いていきましょう。
教員の人事発表は新聞発表をもってされる
人事異動は年度末・新年度の新聞で発表されるまで公表されてはなりません。
年度末の教員の人事に関しては管理職から、外部へ情報が絶対に漏れないようにと注意を受けた経験はあるのではないでしょうか。
なぜそう言われるのか
- 信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)
- 秘密を守る義務(地方公務員法34条1)
「身分上の義務」があるからです。
実際に、教員間で異動先の情報交換したと管理職にばれて、
「自治体で一部の異動を見直した」
そのような実例を職員会議で伝えられた経験があります。
ついうっかり相談した相手が、外部に情報を漏らしていたのは耳にします。
そうならないためにも、地方公務員として働く自分の身を守って行動しましょう。
辞めた後のお金問題!不安要素2つを取り除こう
教員を辞めた後はどのように暮らして行くかの生活は考えてると思いますが、「お金」に関する不安要素も取り除いていきましょう。
教員を辞めた先にあるお金問題2つです。
- 健康保険の加入はどうするのか
- 退職金はあるけど生活できる余裕はあるのか
健康保険への加入は3つから選択します。
年度途中や勤務年数が短すぎる場合は退職金が少なく、職を失ってどのように生計を立てて行ったらいいか不安になりますよね。
それでは、辞めた後の「お金問題」について以下で詳しく解説していきます。
健康保険は3つから選択する
教員を辞めた後は3つのいずれかの健康保険への加入があります。
ただし、就業期間が1年以上の場合と1年未満の場合とで加入に違いがありますので注意が必要です。
① | 国民健康保険 又は 任意継続組合員
② | 組合健保・協会けんぽ・共済組合(再就職が決まっている場合)
③家族の扶養に入る |
① | 国民健康保険
② | 組合健保・協会けんぽ・共済組合(再就職が決まっている場合)
③ | 家族の扶養に入る
自営業やフリーランス、無職の場合は国民健康保険料への加入になります。保険料はお住いの役場に問い合わせて確認できます。
教員として1年以上勤務期間があれば、任意継続組合員になれます。
在職中とほぼ同様の短期給付を受けられて、一部の福祉事業を利用できます。保険料などの詳細は、学校事務に聞くのをオススメします。
再就職する場合は、会社の保険に加入しますので自分での手続きは発生しません。
家族の扶養に入ると、健康保険料は負担しない選択もできます。
退職金<失業手当なら条件ありで受け取れる
教員であり条件を満たせば、失業手当の相当額と退職手当の差額が受け取れます。
教員は退職金があるために失業保険を受け取れないと思われがちですが、勤務期間がおおむね3年未満で以下の条件に該当すれば自治体の教育委員会を通して交付申請できます。
- 教員(常勤)として12ヶ月以上勤務した者
- 退職手当の金額が失業保険の相当額に満たない場合
- 退職の翌日以内で就職する意思はあるが、失業している
教員の退職金の計算方法
給料月額 + 教職調整額 × 勤続年数の支給率
例えば、勤続年数が1年以上2年未満で自己都合退職の支給率は、≒ 0.5 となります。
失業保険の相当額はいくらなのか、「雇用保険の給付額(失業給付金)の計算」を参考に、退職金総額と照らし合わせてみてください。
ただし、家族の扶養に入ってしまった場合は対象外になりますので、その点は注意が必要です。
学校事務に確認するのも億劫でしょうが、私も腹を括って「すぐに就職するのは不可能ですので」と伝えました。
すぐに就職先が見つからない場合は、使える制度は大いに活用していきましょう。
終わりよければ全てよし!望む辞め方をしよう
私が教員を「年度末・年度途中の両方で辞めた流れ」と、「今後の必要な準備」についてをお伝えしました。
教員には正しい辞め方がありますので、時間はかかれど一つずつ順を追っていけば問題ありません。
辞めた後も、健康保険の加入はどうするか、退職金は十分な額があるかどうかを確認してみてください。
「終わりよければ全てよし!」
望む辞め方を選択して、笑顔で次に向かっていきましょう。
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